2026年7月19日、ファッション業界の「廃棄ビジネス」が違法化
欧州委員会は2026年2月9日、Ecodesign for Sustainable Products Regulation(ESPR)の一環として、未使用衣類・ファッション小物・履物の意図的廃棄を禁止する新規則を発表しました(EU Environment 2026年2月発表)。施行は2026年7月19日から、まずは大企業(従業員250名以上)に適用されます。中規模企業(同50〜250名)は2030年から対象となる予定です。これまで業界の暗黙の慣行だった「売れ残り在庫の焼却・埋立処分」が、法的に違法化されます。
背景にあるのは年間560万トンのCO₂排出
EUの分析によると、未販売テキスタイルの4〜9%が一度も着用されないまま廃棄されており、これにより年間約560万トンのCO₂が排出されています。さらに2025年10月に発効したRevised Waste Framework Directiveは、加盟国に対して2025年末までに分別回収システムを整備するよう義務づけ、テキスタイル廃棄物に対する責任を製造者へシフトさせる「拡大生産者責任(EPR)」も組み込まれました。
ブランドの選択肢は「再販・寄付・修繕」へ
新規則のもとで、企業はもはや在庫を捨てるという選択肢を持ちません。代わりに、再販プラットフォームでの販売、慈善団体への寄付、リペア・リフォーム、リサイクル業者へのフィードストックとしての提供といった選択肢が必須になります。これは過去10年間に急速に立ち上がった2nd-handマーケット(ThredUp、Vinted、Depop)にとっては追い風です。一方、ブランド側は需要予測の精度向上と、生産・流通の柔軟化が経営課題として急浮上します。
フランスは「修繕指数」で先行、日本企業も対応急務
EU内では、フランスが2021年に「修繕可能性指数」を導入し、2024年から「持続可能性指数」へ拡張。2023年11月からは「衣類・靴の修繕補助金(7〜25ユーロ)」を国民に支給する独自施策を展開しています。日本のアパレル企業にとっても、欧州市場へ製品を出すかぎり影響は避けられません。倉庫の管理、サプライチェーンの設計、商品開発のサイクル、すべてを「廃棄前提」から「再循環前提」へ作り直す段階に入りました。サーキュラーエコノミーが、もはや理念ではなく法令遵守の問題になっています。