SUSTAINABILITY 🇺🇸 USA / 🌍 GLOBAL 2026.03.18

「リコマース」が小売の主役に──中古品市場15兆円時代の到来

#GEN Z #サステナブル消費 #リコマース #中古市場
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この事例のポイント
  • Gen Z が「新品か中古か」で判断するのではなく「環境負荷が低く、経済的か」で判断する消費観へ転換した
  • リコマースプラットフォームが CO2 削減量を可視化することで、環境配慮が経済的メリットとして実感できる仕組みを構築している
  • 高級ブランドが自社リコマースプラットフォームを立ち上げ、中古品をブランド体験の一部として組み込む戦略をとっている
  • 市場規模が5年で3倍に拡大(5兆→15兆円超)する中で、リコマースはもはや「代替」ではなく「メイン」の購買チャネルになりつつある
あえて中古を選ぶ15兆円のカラクリ - MOVEMENT RADIO
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Overview
ThredUp、Back Market、Vinted などのリコマースプラットフォームが急拡大。Z世代 が中古品を「妥協」でなく「第一選択」として買う時代に。2026年の中古品・リサイクル市場規模は15兆円超へ。
解説

リコマース(Re-commerce=中古品の再販売ビジネス)は、なぜ「妥協」から「メイン選択肢」に変わったのか

かつて、中古品を購入することは「新品が買えない時の選択肢」という認識がありました。しかし今、特にZ世代の間で、この認識が根本的に変わっています。ThredUp(米国最大級のオンライン古着プラットフォーム)、Vestiaire Collective(フランス発の高級ブランド古着マーケットプレイス)、Back Market(フランス発の中古電化製品プラットフォーム)といった大手リコマースプラットフォームが急成長し、その背景には「環境にいい」「経済的」という二つの価値を中古品に見出す消費者が増えているという事実があります。

ThredUpが2025年に発表した「Resale Report」によると、欧米のZ世代の約60%が「品質が同じなら中古品を選ぶ」と回答しており、ミレニアル世代の約40%を大きく上回っています。この違いは、単なる「節約志向」ではなく、環境への配慮と消費観そのものの転換を示しているのです。新品か中古かという選別基準ではなく、「環境負荷が低く、経済的効率がいいか」という新しい判断軸が生まれたということです。

「環境配慮」が実感できる経済的メリットになる仕組み

リコマースが拡大した理由は、環境意識の高まりだけではなく、極めて現実的な経済メリットが見える化されているからです。消費者の視点から見ると、新品のハイブランド商品を定価で購入するのではなく、プラットフォームで70~80%の価格で中古品を購入できます。また売却時も、同じプラットフォームを通じて適正価格で現金化できるため、全体として経済効率が極めて高い仕組みになっています。

さらに重要なのは、プラットフォーム企業が「サステナビリティ」を単なる概念ではなく、見える化した指標として提示していることです。ThredUPでは購入のたびにCO2削減量がグラムで表示され、Back Marketでは「新品購入と比較して環境負荷がどれだけ軽減されたか」を数値化しています。つまり、「安い+環境にいい」というダブルの価値が、視覚的かつ定量的に強化されているのです。この仕組みにより、環境配慮が単なる倫理的判断ではなく、自分の経済的・環境的な「判断の正しさ」を実感させることができるようになったのです。

ファッション・アパレル業界が戦略転換を迫られている理由

アパレル業界にとって、リコマースの拡大は脅威と機会が同居する状況をもたらしています。従来の小売企業は新品販売によって利益を得てきましたが、中古品市場の拡大は必然的に新品の需要を減少させています。しかし同時に、高級ブランド企業(LVMH、Kering傘下各社など)は対抗戦略として自社リコマースプラットフォームを立ち上げ、購入→使用→売却→再販が自社内で完結するクローズドループシステム(自社内で購入→使用→売却→再販が完結する循環型の仕組み)を構築し始めました。

この転換が示唆するのは、「消費者が循環型の購買体験を求めている」という明確な市場信号に、業界全体が応答せざるを得なくなっているということです。かつては「ブランドの新商品をいかに売り続けるか」が戦略の中心でしたが、今は「顧客がそのブランドの商品を何度も選び直せるエコシステムをいかに構築するか」がブランドロイヤリティの維持に直結する時代になったのです。

市場規模の急拡大は「流行」ではなく「インフラ化」の証拠

GlobalData(グローバルデータ分析企業)の「Recommerce Market Forecast 2025」によると、リコマース市場は2020年時点で約5兆円規模でしたが、2026年には15兆円を超えると予測されており、年平均約20%の高成長率で拡大しています。この急拡大はアメリカやヨーロッパだけに限定されず、東アジア(特に日本、韓国)でも同様のトレンドが観測されています。日本のメルカリなどのフリマアプリの成長率も同じ軌道を描いており、リコマースがもはや「一時的な流行」ではなく「生活インフラ化」していることが明らかになっています。この市場規模の拡大と多地域での同時展開は、小売業界全体の構造が今後10年間で根本的に変わることを強く示唆しているのです。

Business Hint
ビジネスヒント
環境配慮と経済性を両立させるリコマースが消費パラダイムそのものを転換しており、ブランドはエコシステム構築による顧客接点の長期維持が競争力の鍵になる。

リコマース(Re-commerce=中古品の再販売ビジネス)の急成長は、単なる「中古品ビジネスの拡大」ではなく、消費パラダイムそのものの根本的な転換を示しています。従来の「新品志向」から「循環志向」へという変化は、マーケティング戦略全体を大きく見直すことを迫っています。消費者、特にZ世代は、もはや「この商品は新しいか古いか」という二項対立で判断していません。むしろ「このブランドのエコシステムに繰り返しアクセスできるか」「環境配慮と経済効率を両立できるか」という新しい評価軸で判断するようになっているのです。

ブランドにとって重要な転換は、「新品の品質や革新性をいかに高めるか」という従来型の戦略では不十分になったということです。今、消費者が求めているのは「購入→使用→売却→再購入」という一連のライフサイクルを通じて、そのブランドとの継続的な接点を持つことができるエコシステムです。つまり、顧客がそのブランドの商品を何度も選び直せる仕組みの構築が、長期的なブランドロイヤリティを決定する時代になったのです。これはThredUpやBack Marketといったリコマースプラットフォームがパートナーシップの対象として戦略的に重要になったことを意味しています。単に売上の減少要因として見なすのではなく、顧客との継続的な接点を生み出す上で不可欠な戦略パートナーとして位置づけることが重要です。

マーケティング企業やブランド企業が実装すべき具体的な戦略は、環境メッセージと経済的メリットの同時提供です。CO2削減量の見える化、リサイクル価値の明示化、クローズドループシステム(自社内で購入→使用→売却→再販が完結する循環型の仕組み)の構築といった施策を通じて、新品から中古品流通まで一貫したサステナビリティ戦略を展開できるブランドが、次世代消費者から圧倒的に支持される状況になっています。ファッション、エレクトロニクス、ラグジュアリー品など、あらゆるカテゴリーでリコマースビジネスモデルが浸透する中で、新品販売だけでなくリサイクル流通を含めた包括的な戦略を立案・実行できるかどうかが、これからの小売業の競争力を左右する最も重要な要因になるのです。

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引用元
GlobeNewsWire
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