従業員の「働く意欲」が2020年以来の最低に
Gallupの最新調査によると、グローバルの従業員エンゲージメント指数が2020年以来の最低水準まで落ち込んでいる。Global Wellness Instituteの2026年報告書は、現在の職場環境を「複合的不確実性の時代」と名付けている。経済の不安定さ、地政学的な緊張、テクノロジーの急変——これらが一度に重なり、組織の中で「先が見えない」という感覚が蔓延している。
「AIに仕事を奪われる」という根源的な不安
特に今年の職場ストレスを際立たせているのは、AIの急速な浸透だ。多くの企業が業務効率化を目的にAIを導入しているが、現場の従業員にとっては「自分の仕事がなくなるかもしれない」という代替恐怖として受け取られることが多い。企業が「効率化」と説明するものが、従業員には「削減」として映っている現実がエンゲージメント低下の一因となっている。
帰社義務(RTO)がさらに拍車をかける
もう一つの要因は、大企業を中心とした「帰社義務(Return to Office)」の強化だ。柔軟な働き方に慣れた従業員にとって、通勤の復活と自律性の喪失は大きなストレスとなっている。特にワーキングマザーや介護者、長距離通勤者に不均等な負担を強いるという批判も強い。
ウェルビーイング施策は「個別化」へ
こうした状況を受け、企業のウェルビーイング施策も大きく変わりつつある。かつての「全員に同じプログラム」というアプローチは通用しなくなっている。Global Wellness Instituteが強調するのは「パーソナライゼーション(個別化)」の重要性だ。また、従来の「メンタルヘルス」中心の投資に「経済的健康(Financial Wellness)」という新軸が加わった。PwCの調査によると、従業員の約60%が財務的なストレスを抱えており、これが精神的健康や生産性にも直接影響しているためだ。